専門医養成支援センターNo1. 福井大学ER研修報告

第一内科専門研修医の岡澤です。専門研修制度を利用して福井大学附属病院の救急部を研修してきました。現在第一内科では呼吸器を専門に日々病棟業務を行っています。急性呼吸不全は救急搬送患者の中でも頻度が多く、また呼吸困難は最も苦しい訴えの一つのため、症状を緩和することはとても重要なことと考えています。

通常研修といっても1週間程度の見学から1年単位の研修まで様々な研修の形式がありますが、その業務内容も、見学程度から実際にスタッフになって働くものまで様々です。通常研修先になれるまでに1か月は必要なので、3か月?6か月くらいの研修だと様々なことが学べます。1年間だと多くのことが学べますが、病棟をあけることはなかなか難しいです。まだ始まったばかりの制度ですので、多少不具合はありましたが十分に研修に専念できました。

 福井大学附属病院は富山大学附属病院と立地条件、規模がとてもよく似ています。もっとわかりやすく表現すると田んぼ(=山)の中に病院だけが建っているような状態です。

 なかでも救急部は寺澤秀一教授の指導のもとER型の救急部をたちあげております。大学病院でありながら地域の病院として24時間体制で患者を受け入れています。例えば眼底鏡や喉頭ファイバーなども救急外来にあり、まず救急医が診察して必要であれば専門科にコンサルトします。

 もっとも特筆すべきはシフト勤務体制が整っていることです。スタッフが多く外来は基本的には時間で区切られています。入院患者を受け持つと病棟に顔を出すことになりますが、原則としてシフト時間以外は外来には呼ばれないので趣味や自分の勉強に時間をあてられます。あいている時間を利用して細菌検査室でグラム染色の様子をのぞいたりしていました。当直帯には上級医、専門研修医あわせて2?3名と臨床研修医が当直にはいるので、一人一人に時間をかけて診察し、鑑別診断をあげられます。3?5年目だと救急車は自分でみるかたわらで臨床研修医にコンサルトされます。これはかなり勉強になります。困った時には上級医に相談できます。こんな恵まれた環境はあまり他ではありません。

 専門研修と卒後臨床研修との違いは、自分の専門性を高めるためのステップアップを目指して積極的に研修内容を選べることです。卒後臨床研修は必修項目であるため、様々な科を経験できる反面、どうしても受身になってしまいがちですが、専門研修では自分の専門分野については逆に聞かれる立場になりますので必死で勉強せざるを得ません。

 おそらく寺澤教授のカンファでのコメントをかみ締めるにはある程度の経験が必要です。福井大学附属病医救急部への研修のタイミングとしてはある程度専門の勉強を開始した上で、かつ一人での当直を経験しはじめて疑問点がでてきた専門研修1年目の後半がお勧めです。ただ救急医療の研修は目的しだいで様々な学ぶべき点がありますので、2年目以降でも遅くありません。ただし3次救急やICU管理などの症例は不十分で、福井大学救急部のプログラムでも提携病院での1年間の研修が予定されているように、どの施設でも100%満足できる研修は提供できません。逆に、富山県にいても専門施設での研修は可能です。是非今後の専門分野に生かせるように、この制度を活用していただきたいと思います。
第一内科
岡澤 成祐


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