第一内科への期待 -私の立場から思うこと-

第一内科への期待。私の立場から思うこと。

富山大学大学院医学薬学研究部(医学) 

特別研究教授  小林 正

 

 大学の独法化と研修医制度は、大学医学部と大学附属病院に大きく影響し、特に地方の大学に対するダメージは顕著である。また、大学の人件費削減政策による医学部教官や附属病院の指導者の減員は医学生の数を増加させるという最近の事態に全く対応できない事態に陥っている。さらに、この傾向は、医学部の研究業績の減少にも現れている。最近、厚生労働省は大学病院の重要性とその地域での派遣元の組織として見直し、大学病院から医師をひき剥がす方策を変更しつつある。

このような現状から、現在の内科医局に望むことは、厳しい環境の中、(1)臨床医、専門医としての人材の育成、(2)地域の中核病院として、高度医療を支える機能を備える体制を堅持、(3)学生を引き付ける関連病院の確保、?大学病院の内科として、医療の進歩を支える研究を行い、またその人材育成を行う。(実際、現在の地方大学の研究活動は厳しい状況であるが、効率面からはまだ旧帝大などより優れているとの、前豊田三重大学学長の調査でも報告されている)

 これらの目標を達成するには、軸足をどこに置くか、またどれを優先順位に達成するか、難しいと思われるが、まずは出来るところから、出来れば満遍なく、学生からみても魅力ある第一内科として頑張っていただければと思う。Lt Louis university.JPG

 小生が米国のレジデントで経験した、1年間でVeterans Administration Hospital (VA Hospital, 傷痍軍人病院で比較的しっかりした機能を持ち、研究なども行われている)City Hospital(市民病院で貧困層の患者の豊富な症例を経験できる)University Hospitalを4ケ月ごとにローテイションすることにより、すぐれた指導者のもとで良き臨床医が育つことになるが、このシステムもこれらの病院の指導スタッフの人件費など充実したバックアップが必要であるが、大学を中心とした地域での教育病院群としてプログラムが日本でも出来れば大学の位置も重要視され、人材育成にも機能するのではと思う。現在の日本では、このようなaffiliated hospitalとしての在り方が確立していないので、現在の研修プログラムの充実と支援体制が必要と思われる。現在の専門医養成プログラムが充実され、大学にそれらの人材が何時でも帰りたくなるような人間味あふれた温かく魅力ある第一内科として発展することを望む。

 


カテゴリー: コラム

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