キーストンシンポジウムに参加して

2010124日から30日、米国コロラド州キーストンリゾートにて行われた、キーストンシンポジウムに、当教室より私薄井と戸辺教授が参加しました。

 

まずは旅行記から。

富山から出発した私と、東京の御自宅から出発された戸辺教授は、成田空港で待ち合わせることになっていました。

出発ゲートで会えるだろうと思っていたのですが、搭乗が始まっても戸辺教授の姿が見えません。私は携帯で戸辺先生に連絡をとり、成田空港の中におられるのは確認していました。そのうちアナウンスで戸辺先生の名前が呼ばれ出したのですが、戸辺教授は現れません。搭乗の終了時間が近づいたため、戸辺先生の顔を見ないまま私は、サンフランシスコ行きのANA機に乗り込みました。

「戸辺先生、無事に乗れるのかなあ、、、、」

 

サンフランシスコ空港に着いて、Baggage claimで約30分待ちましたが、結局戸辺教授は現れませんでした。国内線の乗り継ぎ時間に間に合わなくなる可能性があり、baggage claimを私は一人で離れました。

「戸辺先生、飛行機に乗り遅れたのかなあ、、、ひとりでキーストンまで行くのは不安だなあ、、、」

国内線の手荷物検査場はとても混んでいて、長い列に並んでいたところ、後方から見慣れた戸辺教授の姿が。

「先生おはよう、先生いつ来たの?」

と、戸辺教授。

なんだかそのノリが戸辺先生らしく、脱力したと同時にとても嬉しい再開でした。聞けば戸辺教授は成田のラウンジにギリギリまでおられ、手荷物は全て機内持ち込みだったそうです。その後私と戸辺教授は、キーストンに向け、仲良くサンフランシスコを出発したのでした。

 

初日(124日日曜)の夕方、キーストンに到着すると、カンファレンスセンターでレジストレーションと軽食を済ませ、7:30-8:30PMKeynote sessionを聞きました。レプチンの発見者であるJeffrey M. Friedmanがレプチンとレプチン抵抗性についてのoverviewをしていました。

 

今回のキーストンシンポジウムのテーマは、Adipose Tissue Biology (J3)と、Neuronal Control of Appetite, Metabolism and Weight (J4)のふたつでした。

Adipose Tissue Biology (J3)では白色脂肪細胞の免疫、脂肪組織の血管新生、lipodystrophyadipose stem cell、白色脂肪組織と褐色脂肪組織などがテーマでした。私が個人的に印象的だったのは、白色脂肪細胞同様褐色脂肪細胞の働きが今後注目されていきそうなこと、脂肪組織に浸潤するM1/M2マクロファージの機能が更に詳細に分かってきたことなどでした。ミスターキーストンとも呼ばれるBruce M. Spiegelmanは、PPARgをリン酸化する新たなキナーゼ(cdk5)の働きについて発表していました。

 

Neuronal Control of Appetite, Metabolism and Weight (J4)では視床下部のシグナル伝達、中枢神経の栄養のsensingBiatric surgery、視床下部外の中枢神経機能などがテーマでした。レプチンシグナル伝達の詳細が分かってきたこと、レプチン以外のニューロペプチドが単独またはレプチン作用との相互作用を介して摂食や代謝に重要な働きをしていること、情動や報償系に関わる視床下部外のシグナルが今後の重要なテーマになりそうなこと、などが印象に残りました。

 

J3J4のジョイントセッションでは、脂肪と代謝のCircadian Controlがとても興味深かったです。私たちが今テーマにしているSIRT1の活性が、時計関連遺伝子によって制御され、逆に時計遺伝子の活性にも影響を与えることが報告されていました。また、Circanual rhythmという切り口も重要だと思いました。今後の研究のヒントを得ることができました。

 

今回はポスターセッションで2つの演題を発表してきました。ひとつは「Interleukin-10 improves insulin sensitivity with STAT3 phosphorylation in hypothalamus」という演題で、もうひとつは「The effect of SIRT1 activation on inflammation and oxidative stress in white adipose tissue of high fat-fed mice」という演題です。わざわざ「これだこれだ」、と見に来てくれた人もおり、また多くの質問を受け、嬉しかったです。

 

キーストンシンポジウムは、朝8時から11時まで口演があり、その後昼休憩が入り、午後4時から7時までまた口演、夕食(アルコールあり)をはさんで10時までポスターセッションという日程でした。私は昼の休憩時間に毎日昼寝をしてしまい、結局最終日まで時差がとれませんでした。次回参加することがあれば、時差対策のためにスキーでもしようかな、と思いながら帰途につきました。

 

 


keystone1.JPGコンドミニアムに泊まりました。寒さは富山とあまり変わりませんでした。

  

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コンドミニアムには完璧なキッチンがついていました。

学会場の写真を撮ってくるのを忘れました。

 

 

第一内科 薄井 勲


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