広 島 か ら 近 況 報 告

富山大学第一内科のご出身で、広島大学 リウマチ・膠原病科 教授であられる

杉山英二先生から、コラムを頂くことができました。

新設科であり、お忙しい日々を送られておられるとのことですが、

写真に写っているように、大変充実されているとのことです。

リウマチ・膠原病を志す先生方の励みになればと思います。

それでは、コラムをお楽しみください。

 

 

広 島 か ら 近 況 報 告

 

皆さん、お元気ですか。同窓会では大変お世話になりました。列車の関係で前半の研修医の症例報告や各グループの研究発表が聞けず残念でしたが、抄録を拝見していますと、着実に研究成果が上がっているように感じられました。これも医局の先生方の日頃の努力のたまものだと思います。さて、私が広島大学病院に赴任して1年半が経過いたしました。新設科ですので、立ち上げに際してはスタッフのリクルートなど苦労しましたが、広島大学病院の先生方のサポートもあり、現在は診療、教育につきましては何とか形になってきたのではないかと思います。病院スタッフは私と講師1名、助教1名の総勢3名ですが、呼吸器内科の先生方の協力を得て、外来診療、病棟業務をこなしています。外来患者は約500名、病棟には後期研修医がおりませんので、指導医クラスのスタッフが担当主治医になります。大学病院ですので重症患者の紹介が多く、なかなか大変です。血管炎のなかでも稀な疾患である側頭動脈炎をこの1年で4例も紹介されましたし、難治性の血管ベーチェット病、慢性進行型神経ベーチェット病、ウエゲナー肉芽腫症、心筋炎を合併したChurg-Strauss症候群などを経験しました。膠原病診療に携わって30年になりますが、今更ながらリウマチ・膠原病診療の難しさとその奥の深さを実感しております。

当科の開設の目的は広島のリウマチ・膠原病疾患の診療レベルの向上とリウマチ専門医の育成です。このため、学生がリウマチ・膠原病疾患を理解して、興味をもつことが出発点と考え、学生教育にはかなり力を注いできました。たんに意味もなく診断基準を覚えさせることは苦痛以外の何者でもありませんから、とにかく病態を理解させて、臨床症状との関係を説明するように心がけております。ポリクリ実習の後半に、学生が興味のある科を選択して実習するアドバンスコースがありますが、本年度は11名の学生がリウマチ・膠原病科を選択してくれました。このコースでは学生が多くの患者と接することができるように、外来診療の見学を重点においたスケジュールを作成しました。開業医として地域の第一線でリウマチ診療に取り組まれている先生や市内の中核病院でリウマチ診療に携わっている先生の協力をえて、かなり充実したものになっています。この写真はアドバンスコースの打ち上げ会の様子ですが、将来この中からリウマチ専門医を志す医師が育つことを願っています。

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大学に在籍する以上、外への発信力をもつことが重要です。診療、教育に忙殺されることが多い日々ですが、少しの時間でよいので新しいものを生み出すための時間をとることが大切ではないかと思います。講演のたびに、富山大学で行ったヒト破骨細胞の研究やリウマチ教育・検診入院の取り組みを紹介するのですが、他にないユニークなものとしていずれも好評です。現在はスタッフも少なく、余裕がありませんが、近い将来臨床に根ざした研究を発展させたいと考えています。また、皆さんと連携してプロジェクトを進めることができるように努めますので、今後とも宜しくお願いいたします。

杉山英二

 

 


カテゴリー: コラム

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