第11回市民公開講座 「肺の日」 記念講演会

梅雨明けの青天の中、富山市の国際会議場において第11回市民公開講座 「肺の日」 記念講演会を、日本呼吸器学会北陸支部主催、事務局 第一内科 林 龍二先生で開催いたました。

テーマは

 肺にもあった「生活習慣病」 長生きする肺・老化する肺

でした

 

会場がほぼ満員になるほど盛況な会となり、パネルディスカッションでは市民の皆さんからも活発なご意見をいただくことができました。

まことにありがとうございます。

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今後は、病院での活動だけでなく、より社会的に病気や治療法の正しい情報を発信していく必要があるということを実感いたしました。

 

講演1では黒部市民病院の河岸先生より「慢性咳嗽」について御講演頂きました。

皆さんも一度は困ったことがある咳について、病院にかかるきっかけによる分類や、咳の続く期間によって分類して説明していただきました。感冒や気管支喘息による咳でも3週間から8週間持続することがあるそうですが、中には恐い病気も隠れておりますので、長びくようでしたら一度お近くのお医者さんを受診されて下さい。

 

講演2では当科より猪又先生が「COPD」について講演されました。

COPDの患者さんの肺は昔よく作ったヘチマのたわしのように、穴だらけになってしまいます。


image003.jpgしかも、恐ろしいのは一度穴があいてしまうと戻ることがなく、肺の大半が壊れないとなかなか症状として表われないことです。禁煙はもちろんですが、
COPDと診断されたら定期的に呼吸機能をフォローしていくことが大事です。

 

 

講演3では社会保険高岡病院の篠田先生より「喫煙関連肺疾患」について講演して頂きました。現在喫煙開始時期が低年齢化しております。篠田先生たちは中学校に赴いて、喫煙の害について中学生に教育されているとのことでした。喫煙の害は開始時期が早ければ早いほど強く出てきますので禁煙だけでなく「防煙」教育が重要とのことです。

 

休憩をはさんで特別講演となりました。今回は帝京大学の江口研二先生をお招きして肺癌について、リスク、診断から治療、緩和医療まで広く講演して頂きました。

 

 

 

 

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たばこの事を最近のサプリメントの売り文句に例えてわかりやすく表現され、いかに肺癌の早期発見が重要か、またそれが難しいのか教えていただきました。

また、「緩和医療」についても大切な情報をいただきました。今まで緩和といったら、もう手のほどこしようがないから、モルヒネで眠ってもらう、といった誤解が拡がっていました。しかし、「緩和医療」とは早期癌であっても、癌そのものの治療と開始とともに開始される、苦痛を緩和してくれる治療のことです。一番の苦痛は「痛み」のことが多いのですが、医療用麻薬の使用量は日本は諸外国に比べてまだまだとても少ないとのことです。今まで緩和医療を教えるところがなく、現在でも大学の講座としては数えるほどしかないとのことでした。これは大学としての今後の課題でもあります。また市民の皆さんにも、麻薬は怖いとか依存的になるなどの誤解をといていくための啓蒙活動が必要だと思われました。

 

 

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パネルディスカッションでは、呼吸器疾患の患者さんからの御意見をたくさん頂きました。

その中で話題となったことは、講演の中にも出てきたことですが会場にこられた方は現在喫煙されていない方が多いです。しかし、喫煙の問題は会場にこられていない方々、呼吸器疾患のことをまだあまり御存知ない方々にこそ広めていかなければならない問題であるということが再認識されました。これには、今日このブログを読んで頂いた皆様の協力が是非必要です。

興味を持たれた方は、今日からちょっとした行動を起こしてください。ご家族に禁煙外来を勧めてみることでもいいです。そして是非次回の講演会に御参加頂ければ幸いです。

 

最後になりましたが、御講演頂いた諸先生方、御参加頂いた皆様、まことにありがとうございました。

 

 


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