わしもセッテ・ポルタスで考えた

富山大学第一内科のご出身で、高知大学医学部 血液・呼吸器内科学教室 教授であられる

横山彰仁先生から、コラムを頂くことができました。お忙しい中まことにありがとうございました。

特に呼吸器チームの先生方には大変励みになる御言葉をいただきました。私たち一人一人が富山大学をもりたてていくよう頑張らねばなりません。

それでは、コラムをお楽しみください。

 

 

わしもセッテ・ポルタスで考えた  高知大学 横山彰仁

9月にバルセロナで開催されたヨーロッパ呼吸器学会に参加しました。バルセロナは2回目でしたが、古い立派な建造物があり、サグラダファミリアやグエル公園、美術館など素晴らしい芸術都市でもあります。しかし、往年の繁栄をよそに、スペインは今ではすっかり貧乏になり、破産寸前の国になっています。従って、決して安全な都市とは言い難く、今回も学会参加者が財布やカバンを盗まれたという話をいくつか聞きました。

写真は「セッテ・ポルタス」という1836年創業(日本では土佐の坂本龍馬が生まれた年!)のバルセロナ最古のレストランに行った時のものです。確かにここのパエリャは最高で、料理とワインを堪能しつつ、スペインの来し方行く末と重ねて日本の現状を愚痴っていました。国際学会でも中国や韓国の躍進は顕著で、日本の全般的な地盤低下ははっきりしてきています。現代っ子を見れば、衰退は必至と思えるのは、年をとったせいかもしれません。

下っ端根性で批判するだけでは何にもならないのですが、指導者も仮免では当てにできず、自分なりに考えてみると、最も「廃れゆく国、日本」に足りないのは、どうも愛国心を醸成する教育ではないかと思えます。第二次世界大戦のころ、チャップリンが「今日の悪魔は愛国心である」といったように、日本でもタブーに近いものがありますが、頑張るパワーの源泉になるような、まっとうな愛国心は必須ではないでしょうか。それは郷土愛や母校愛に繋がるとも思います。

30年経っても富山大学医学部は新設であることに変わりありません。歴史がないということは、歴史から自由で、我々が歴史を作っているともいえます。危機意識からの国策ですが、新興国のように余裕のない「選択と集中」が大学にも持ち込まれていて、歴史的に基盤の乏しい大学には困難な状況です。坂の上の雲の時世であれば、一人ひとりが母校のためにさらに一生懸命日々是精進せよ、歴史ある大学人の2倍は勉強せねばならぬ、などというところでしょう。よし、そのとおり、皆さんには母校愛を持って立派な歴史を作るべく頑張ってもらいたい、なんていうと「だらなアナクロけえ」といわれるのがオチでしょうけど。

写真:広島大学の村井講師、春田講師(左端筆者)と一緒に追加注文のイカスミのパエリャが写っています。

 

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カテゴリー: コラム

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